日本木酢液協会は木酢液・竹酢液の有効利用と関連業界の発展を図ることを目的とした団体です。

農業への利用の可能性について

木酢液、竹酢液の農業への利用の可能性について

木酢液、竹酢液は、木炭や竹炭を製造する際に発生する煙の成分を冷却して得られたものです。

水分が約90%で、残りの10%のうち、約5%が酢酸で、その他アルコール類、エステル類、フェノール類等、約200種類に及ぶ有機成分が含まれています。

木酢液、竹酢液は、国内で約4,000トン生産されており、その用途は広く、主に農産物を生産するため土壌改良資材や植物活性剤等として使用されております。又、堆肥の発酵促進剤としても利用されています。

農業への利用方法については、公的試験機関、又は農家等で具体的に実施された事例として、以下の方法があります。

 

1)イネ苗のいもち病発生を防止する1)。

イネ種子を木酢液又は竹酢液の50倍希釈液に24時間浸漬し、さらに200倍希釈液を育苗箱(60×30cm)1箱当り500mlを潅水代わりに育苗期間中イネに十分にかかるようにジョウロで散布する。

2)土壌の消毒に用いる2,3,4)。

作物を植える前に20~30倍ぐらいの高濃度希釈液を1㎡当り5~6リットルを土壌表面に散布、又は潅注する。散布・潅注後7~10日ごろに植え付けする。木酢液、竹酢液が高濃度のため殺菌作用を示すとともに、木酢液、竹酢液は7日位で土の中で分解する。

3)土壌中の有用微生物の増殖を促す5,6)。

200~400倍希釈液を土壌表面に散布する。有用微生物が増殖することにより、結果的に病原菌が減少し、作物が丈夫に生育する。米ぬか、腐葉土等の有機質肥料を施肥した後に木酢液、竹酢液を散布すると、有用微生物の増殖がさらに促される。

4)植物の芽及び根の成長を促進する7,8,9)。

木酢液、竹酢液は、低濃度で作物や芝に施用すると芽や根の成長が促される。例えば、芝の場合、1a当り0.5~1リットルを50倍に水で希釈し、毎月1回処理すると、地上部及び根部の成長が促進する。

5)土壌中のミネラルの作物への吸収を助長する10)。

木酢液、竹酢液に含有する酢酸やプロピオン酸類の有機酸が土壌中のミネラルをキレート化し、作物へ吸収しやすくする。

6)他の天然有効成分の抽出に用いる11)。

ニンニク(発芽促進等)、トウガラシ(ダニ被害等の防止)、魚腸(チッソ肥効の向上)等の有効成分を抽出し、相乗効果を発揮する。抽出液を通常300~500倍に希釈して散布する。

7)木炭、竹炭といっしょに使用する12)。

木炭又は竹炭に木酢液、竹酢液を5~10%混合し、土壌に散布し混合する。木酢液、竹酢液の有機酸により木炭・竹炭のアルカリ性が中和され、有用微生物のすみかとなる炭の働きが向上する。

8)農薬に混ぜて使用する13)。

木酢液、竹酢液を400~1000倍希釈になるよう農薬に混ぜて葉面散布すると、葉への農薬の吸収がよくなる。これは、木酢液、竹酢液の油成分による展着剤的効果が考えられる。又、農薬の多くは酸性溶液に溶けやすいので、木酢液、竹酢液を混合すると葉への吸収が高まると思われる。

9) 堆肥つくりへ活用する14)。

木酢液、竹酢液には堆肥の腐熟促進効果があり、特に豚糞や牛糞などを堆肥化するには最高だ。発酵が早く、夏は、4日ぐらいで80度の温度になる。高温になるのが早いので、切り返しも早め早めに行い、また、堆肥が乾きやすいので切り返し時などに水分の補給につとめる。木酢液、竹酢液は、堆肥つくりに使う水に混ぜて使い、濃度は100倍ぐらいが好ましい。濃度が濃すぎると殺菌力が強くてよくない。

 

引用文献、参考文献

1)木竹酢液認証協議会の試験データ
2)林業試験場研究報告、96号、105(1957)
3)日本植物病理学会報、26(3)、90(1961)
4)農業及園芸、36(10)、65(1961)
5)現代農業 4月号(2003) P92
6)日林誌、42(2)、52(1960)
7)農業および園芸、70(7)、66(1995)
8)農業および園芸、70(8)、57(1995)
9)芝草研究、26(2)、21(1998)
10) 現代農業 4月号(2003) P71
11) 現代農業 4月号(2003) P77
12) 現代農業 4月号(2003) P75
13) 現代農業 4月号(2003) P74
14)木酢・炭で減農薬 岸本定吉監修 農文協編 P62

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